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京都で開催されたアジア太平洋地域で最大規模のマルウェア対策国際会議AVAR(Association of anti Virus Asia Researchers International Conference)2009のために来日したカスペルスキー研究所CEOユージン・カスペルスキー氏へ2009年11月4日にインタビューを行い、最新のセキュリティ事情、新バージョンの特長などについて伺ってきました。
―― 本日は大変お忙しい中、ありがとうございます。
また最新バージョンのリリースおめでとうございます。11月にはMac版もリリースされますね。 ■ユージン・カスペルスキー(以下ユージン):ありがとうございます。おかげさまで最新版は世界各国で大変好調だという報告を受けています。日本でもユーザーの皆様に幅広くお使いいただけることを願っています。
―― 最近のウイルス動向・特に最近はやっているウイルスについてどのようにお考えですか。
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■ユージン:インターネット犯罪はさらなる組織化が進んでいます。メンバーが入れ替わっていた一昔前に比べると、現在では犯罪組織が固定化し、組織メンバーが専業に従事して、確実にそのビジネス(犯罪)で儲けようという意志が現れているように感じます。 なかでも一番多い犯罪はクレジットカード情報の盗難、銀行、金融を狙った攻撃です。 奪った情報で作った偽造クレジットカードを使用した犯罪も増えてきています。ある事例では世界40数カ国で約30分の間に一斉にATMからお金を引き出した事件がありました。そのときの被害総額9億円ぐらいでした。これまで一番スケールの大きかった犯罪は2005年、当時のレートで450億円ぐらい(2億2千9百万ポンド)を狙ったものがありました。 また現在増えてるものとしては、ボット構築によるボットネット(ウイルスなどによって悪意ある人物に遠隔操作されるようになったパソコン等で構築されたネットワークのこと)、それらを使ったDoS攻撃(ネットワークを通じた攻撃の一つ。大量のデータを送りつけるなどしてシステム等を使用不能な状態にさせるたりすること)が挙げられます。 DoS攻撃も金銭を奪うための手段として使われることが珍しくありません。しかもユーザーも知らないうちに加害者になる可能性もあります。個々が適切な対策をしなければならないと考えています。 |
今年に入ってからは新型とも呼べるウイルス「Conficker」(コンフィッカー)、「Kido」(キド)の大流行が確認されました。何百万台という規模でPCが感染させられ、ボットの管理者によって様々な攻撃が行われています。 新しい「Kido」が今年4月1日に一斉にアップデートされるだろうという情報が事前に出回ったことがありました。この分野を専門に見ている私にとっては非常に恐ろしい情報で、まず4月1日に出張がないかどうかを確認したほどです。 新しい「Kido」を作ったりウイルスをばらまいたりしているウイルスライター(作成者)が今はまだサイバー犯罪者のレベルにとどまっていますが、それ以上になることが非常に恐ろしいと感じています。それはより大規模なサイバーテロリズムに発展するということです。 一方で少し前までポピュラーだったオンラインゲームの犯罪は減少傾向にあります。それは効率が悪いからです。考えられる理由は、ゲームの種類も多岐にわたり、オンライン用のウイルスを作り、ばらまいても1件あたりの金額が小さいからでしょう。 前回日本に来てから携帯電話のウイルスや攻撃はまだそれほど増えていないし、増える傾向もあまりありません。というのも携帯電話を介してのビジネス、サービスというものはウイルスライター(作成者)のいる地域(南米、東欧、中国、ロシア)でそれほど発展していないので彼らにとってはまだ魅力ではないのでしょう。Linuxに関してはLinux上のサービスが金銭的なメリットが少ないためそこでのサイバー犯罪活動は非常に少ないですね。以上が私が見ている最近のウイルス動向です。 |
―― なるほど。何も知らず犯罪に荷担してしまう可能性があるとは非常に恐ろしいですね。私たちもより高度な対策の必要性を感じます。 では最も身近に導入できるコンシューマ製品についてお聞かせいただけますか。 |
■ユージン:製品について話をすると我々は三つカテゴリを提供しています。 一つはコンシューマ製品。二つ目は企業向け製品。三つ目はモバイル向け。先ほども申し上げたようにサイバー犯罪はより複雑化・巧妙化しているため製品にはそれらに対抗するために新しい様々な機能を搭載しています。これらの新しい技術が一番最初に搭載されるのが我々のコンシューマ向け製品です。 |
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