関東平野の西果て丹沢山系が連なる自然豊かな地に居を構え20年近くになります。
春には山菜狩り、夏は河原でキャンプ、秋にはキノコ狩りに自然薯掘り、冬は雪の表丹沢山歩 きなど、休日の過ごし方には事欠かないですね。
山の中でよく感じていたことなのですが、小鳥や虫の発する「声(音)」はどうしてあんなに綺麗なのだろうか? 山で出会う雉の「ケーン・・ケーン・・」と鳴く音は驚くほど大きく、遠くまで響きます。鈴虫の鳴き声の中高域の響きはすばらしい。
これらの音をどうにかスピーカーで再生してみたいと思っていましたが本当に難しくて、半ば、あきらめていました。
そんな頃に出会ったのがタイムドメイン社の由井社長と「Yoshii9」です。
キース・ジャレットの「ケルンコンサート」のCDを聞いた時には、鳥肌が立ちました。
あの、気むつかしいキースの神がかり的な、ピアノ即興ライブコンサート。目の前でピアノが鳴っている。キースが唸っている、観客のため息が聞こえる。強い感動を受けました。
そして由井社長から「タイムドメイン理論」のレクチャーを受けて、「音は波動、時間が音を創る」の言葉に「Yoshii9」の真髄を感じました。
そのころ、私は某大手精密機器メーカの研究所で計測機器の要素研究を行っていたんです。現場の管理職で仲間と毎日夜遅くまで実験に明け暮れていました。
しかしそこは現実的なユーザーの顔は見えず、悶々と時間だけが過ぎて行く毎日でした。
そんな時、由井社長を紹介してくれた、日本METの社長から「タイムドメインのスピーカを作らないか」の一言で、転職を決意したのでした。
「Yoshii9」は30万円もする高級機、誰もに「タイムドメイン」の音を聞いてもらうため、10分の1程度で買え、しかも「本物の音」とするものを作ることを目標に置きました。
外観デザイン、構想設計、機能試作を日本で行い、生産設計は台湾で行うように決めたのが2003年の春でした。
スピーカボックス、アンプ、電源、中でもスピーカユニットは時間がかりましたね。10回位は試作を繰り返しました。
「このスピーカーは楽器です。私達は楽器を作ります」とお願いしながら部品メーカーをまわりました。試作と細部調整を何度も繰り返しました。
そして、素晴らしい仲間たちによって育て上げられた「Marty101」は2005年の年末、やっとのことで産声を上げたんです。
「Marty101」は、アコーステック楽器を使ったライブは最も得意です。
クラッシックの室内楽、Jazzのクァルテッド程度、民族楽器・音楽、演歌なんかものびやかにはっきり聞こえますね。
音圧(風圧)を身体で感じる必要のあるジャンルや、意図的な重低音(一般的に自然界には存在しにくい音)には少々不向きです。
これらの音をどうにかスピーカーで再生してみたいと思っていましたが本当に難しくて、半ば、あきらめていました。
また、テレビやDVDホームシアターに繋いで映画を楽しむのにも適していますね。人の声、息遣い、足音、雨の音、風の音など、繊細な音の演出がある映画はとても力を発揮すると思います。