柿渋染めとは? 柿を搾って作る天然染料の「柿渋」で染めた帆布

柿渋の特性と用途
柿渋染めは、防水効果、防腐効果、耐久力強化といった特性を持っています。
古くから、酒袋、漆器、布、木、竹、紙、型紙、漁網、釣り糸、ロープ、家具、建築材、船、傘、格子、うちわなどの下地として使用されてきました。

また民間薬として、やけど、しもやけ、血圧降下剤、二日酔いの予防や蜂などのタンパク毒の中和剤としても利用されてきました。
現在では、清酒製造での清涼剤(酒の中のタンパク質を柿タンニンが凝固・沈殿する)や化粧品素材、発酵食品の除タンパク剤、重金属の吸着剤として使用されています。

柿渋染めに使う柿の種類
日本国内では柿は約1,000種あり(異名同物、異物同名も含む)、柿渋染めにはヤマ柿、アブラ柿、マメ柿等が使用されています。

渋味とタンニンの含有率について
渋味=タンニンです。 口に含むと粘液のタンパク質が凝固し、その結果渋く感じます。
甘柿と渋柿のタンニン含有率
青柿
成熟果
甘柿
約0.3%
約0%
渋柿
約3〜5%
約1〜2%

バンナイズオリジナル柿渋帆布
柿渋液は毎年収穫され、3年間熟成された物を使用しています。
年ごとに色を出すタンニンの含有率が微妙に異なりますが、化学薬品で調整せず、天然の柿渋液を使用しています。染めの度に多少の色合い差が出ることにより、工業製品のように画一されたものではなく、独特の味わいを醸し出しています。

また、柿渋で染めた布は空気中の酸素による酸化、太陽光の紫外線、湿度や温度によって色が濃くなっていきます。染め工程においては、晴れた日が何日かないと発色しないため、染色は必ず晴れると判断した日の午前中にしか行いません。

すべて自然の力による製作工程によるため、年や季節によって同一の色にはならず、柿渋染めがいっそう魅力的なものになっています。
さらに、製品になった後も、太陽光や温度、湿度などにより色合いが変化していきます。
※柿渋で染めた布の乾燥工程

柿渋の歴史
古墳時代 中国では4世紀〜5世紀頃から存在したとされています。
平安時代
(794年〜1192年)
侍の衣服や山伏が利用した「柿衣」があったと考えられます。
鎌倉時代
(1192年〜1333年)
『平家物語』には「柿の衣」が記載されており、
また『源平盛衰記』には「カキノキモノ」が記載されています。
南北朝時代
(1333年〜1392年)
韓国では、1382年『済州島略史』によれば民の太祖征服された雲南の染王が済州島に移送されたときに柿渋染めが伝えられたとされ、柿渋衣(カツオッ)と呼ばれ夏期の衣服として広く利用されています。
江戸時代
(1603年〜1868年)
1603年『日葡辞書(ニッポジショ)』(江戸初期の日本語−ポルトガル語の辞書)にはXibu(渋)Xibuzome(渋染)が記載されています。

1684年『雍州府志』(江戸時代に刊行された山城国最初の総合的地誌)では柿渋について詳細に記されています。

1705年『万宝鄙事記』中の「渋染めの法」では、藍染めを職業とした紺屋、柿渋染めを職業とした渋染屋の記載があります。

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