柿渋染めは、防水効果、防腐効果、耐久力強化といった特性を持っています。 古くから、酒袋、漆器、布、木、竹、紙、型紙、漁網、釣り糸、ロープ、家具、建築材、船、傘、格子、うちわなどの下地として使用されてきました。 また民間薬として、やけど、しもやけ、血圧降下剤、二日酔いの予防や蜂などのタンパク毒の中和剤としても利用されてきました。 現在では、清酒製造での清涼剤(酒の中のタンパク質を柿タンニンが凝固・沈殿する)や化粧品素材、発酵食品の除タンパク剤、重金属の吸着剤として使用されています。 |
日本国内では柿は約1,000種あり(異名同物、異物同名も含む)、柿渋染めにはヤマ柿、アブラ柿、マメ柿等が使用されています。 |
渋味=タンニンです。 口に含むと粘液のタンパク質が凝固し、その結果渋く感じます。
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古墳時代 | 中国では4世紀〜5世紀頃から存在したとされています。 |
平安時代 (794年〜1192年) |
侍の衣服や山伏が利用した「柿衣」があったと考えられます。 |
鎌倉時代 (1192年〜1333年) |
『平家物語』には「柿の衣」が記載されており、 また『源平盛衰記』には「カキノキモノ」が記載されています。 |
南北朝時代 (1333年〜1392年) |
韓国では、1382年『済州島略史』によれば民の太祖征服された雲南の染王が済州島に移送されたときに柿渋染めが伝えられたとされ、柿渋衣(カツオッ)と呼ばれ夏期の衣服として広く利用されています。 |
江戸時代 (1603年〜1868年) |
1603年『日葡辞書(ニッポジショ)』(江戸初期の日本語−ポルトガル語の辞書)にはXibu(渋)Xibuzome(渋染)が記載されています。 1684年『雍州府志』(江戸時代に刊行された山城国最初の総合的地誌)では柿渋について詳細に記されています。 1705年『万宝鄙事記』中の「渋染めの法」では、藍染めを職業とした紺屋、柿渋染めを職業とした渋染屋の記載があります。 |
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