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日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業
WebSphere事業部 主任セールススペシャリスト 加藤 泰子
第2回目のゲストは、日本アイ・ビー・エム株式会社 WebSphere事業部の
加藤 泰子さん。
「ホームページ・ビルダー」シリーズの企画担当として、開発スタッフとのコンセプト作りから販売に至るまで製品のすべてに携わる加藤さんに、「12」誕生の背景についてお話を伺いました。 |

---IBMというと、サーバシステムやスーパーコンピュータの会社というイメージがあります。
その中で、「ホームページ・ビルダー」シリーズもリリースされている。これは、意外に感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
加藤「それについては、こんなエピソードがあるんですよ。
7〜8年前の話ですが、当社の営業がお客様からホームページ・ビルダーについて問い合わせを受けたそうです。
欲しいんだけど、って。
ところが、その営業は
ホームページ・ビルダーのことを知らなかったんですよ(笑)。自社製品だなんて思ってもみなかったとか。
さすがに今はそんなことはありませんが、当時、意外に感じるのは社内でも同じだったんですね。」
---むしろ、当時は社内よりお客様における認知度の方が高かったかもしれませんね。
加藤「そうですね。
当社は企業向けの製品が多い中で、ホームページ・ビルダーは、今や個人の方も含めて累計一千万以上のお客様がおり、さらに小さな企業のお客様にもアプローチできる看板ソフト。
いわば、IBMブランドの裾野を広げることのできる大事な製品といえますね。」
---今回の製品で、バージョンも「12」になりましたね。
これほど歴史を重ねてくると、今回はどんな製品にしようかと悩まれるのでは?
加藤「
“初心者に優しい”というコンセプトは、シリーズを通して一貫しています。 問題は、その手法や内容。
その時代の潮流に則った表現や利用スタイルに合わせて、ユーザーが求めるものを提供する。それが私たちの基本的なスタンスです。ただ、確かに、口でいうほど簡単なことではないですね。
たとえば、2005年あたりから
ブログブームが起こった。
そこで、ホームページ・ビルダーは、これにいち早く対応しました。数千万ともいわれるブログ人口は、ホームページ・ビルダーのライセンス数より何倍も多い。
その市場は魅力的です。
そもそも、ホームページとブログにはそれぞれ別の役割があります。ですから、連携することで、その
相互利用と棲み分けを提案していこうと思っていました。
そして、ブログ世代のユーザーにもホームページの便利さや作る楽しさを知ってほしかった。そのためのインターフェースが進化した形が、12に搭載されたホームページ・ビルダー クイックです。」

---加藤さんが考える、ホームページとブログの棲み分けとは?
加藤「旅行に行ったとして、旅行記を現地で書くならブログ、帰ってきてから写真集など記録としてまとまった形にするならホームページ、という考え方です。
企業のサイトなら、会社情報など固定的な内容はホームページ、日々更新する情報はブログの方がいい。お互いの技術上の制約や利便性の限界を考えた場合、どちらかで全部やるのはどうしても無理があるんです。」
---閲覧性や一覧性はホームページの方が上ですよね。でも、ブログの方が簡単なイメージがあるんですよね。
加藤「そこで、ホームページ・ビルダー クイックでは、ブログ的な要素を取り入れ、ホームページ全体のデザインを
テンプレートから選ぶという仕組みを採用しました。これは、多くの方からお褒めいただく部分です。」
---ホームページ・ビルダーからブログを更新できるのは、ブログユーザーにも嬉しいですね。
それに、「12」ではブログのデータを読み込んで、ホームページの作成に利用できるのもいい。
加藤「ね、便利ですよね(笑)!
記事の再利用に関しては、ブログがごく普通のことになって時間が経ち、みなさんそろそろ、投稿した記事が蓄積されつつあると考えたんです。
だから、次はそれをホームページ・ビルダーで管理しながらホームページにアーカイブして、みんなが利用しやすい情報として活用しましょうよ、と。
ブログ連携機能は、その提案でもあるんです。」
---今回、パートナーとしてジャストシステムを選ばれたわけですが。
加藤「ジャストシステムは、日本を代表するソフトメーカーでコンシューマと法人の両面に強い。特に官公庁のお客様に強いのは、それだけ技術力と信頼のある会社だからだといえます。
また、エンドユーザーへの営業、販売体制が強い点も大きな魅力ですね。
技術的な観点でも、豊富なソフトウェア資産や、xfyのような先進的な技術や開発力をお持ちですから、
それらとホームページ・ビルダーを連携させていくことによって、ユーザーに新しい価値を提供できると思っています。一太郎、花子、三四郎との連携機能やJust MyStageは、その最初の成果です。」
---パッケージのサイズ(天地)も、ジャストシステム製品に合わせられたとか。
そういえば、ホームページビルダーのパッケージは、なぜ黒とピンクなんですか?
加藤「パッケージのデザインは、ThinkPad(※)のデザインを考案した日本IBM大和研究所のデザインチームが手がけました。
当時、
黒いパソコンといえばThinkPad、というぐらいにIBMブランドを印象付けたカラーでしたから、その黒の基調をソフトウェアにも展開していったわけです。
ちなみに、当時IBM製品は白いパッケージが標準だったのですが、日本だけ例外で本社の許可をもらってこの黒いパッケージにしたんです。コンシューマ向けソフトなので、もっと店頭で目立たければだめだ、ということで。
ピンクは、ホームページ・ビルダーのブランドカラーとして決めた色です。
中心には、ホームページのさまざまな要素や使い方をモチーフにした写真とアイコンを散りばめています。
ブロックのように見えるのは、以前のパッケージに描かれていたお城の新しい形ですね。」
※IBMブランドのノートPC。現在はレノボ社が製造、販売している。
---最後に、ユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。
加藤「店頭でのキャンペーンや展示会など、ユーザーの方々に直接お会いする機会も多いのですが、みなさん本当にホームページ・ビルダーのことを好きでいてくださるんです。
それがとても嬉しいですし、今後も常にユーザーの声に耳を傾けて、ご期待に応えていきたいですね。
このバージョンに限らず、末永くお使いいただければと思います。」
