SONY デジタルペーパー DPT-S1 フリクションシート付

1/1000秒の調整を繰り返す

デジタルペーパーは文書をあたかも「紙」と同じように利用するための商品として位置づけられたものです。
「読む」ことだけでなく、紙のように「書く」ことに特にこだわって作られました。
紙のデジタル化を目指すデジタルペーパーにおいて、紙にせまる読みやすさと書き心地を同時に実現することが最も開発に苦労した点です。
たとえば、ペンで文字を書くときに、タッチパネルからの入力座標がノイズで揺れることがあり、これを解消するためにはフィルターを通しノイズ成分を除去する必要があるのですが、ただ単純にフィルターを通すだけだとペンで書いてから実際に表示されるまでの間にタイムラグが発生し心地よい書き心地が得られなくなります。
タイムラグの短さを維持しつつ、ノイズ成分を除去するといった処理を同時に行うことにたいへん苦労しました。表示のタイムラグといっても実際には1/1000秒単位のごくわずかな時間です。この短い時間を人間が感知するのは困難ですが、文字を書くと違和感となってはっきりとわかってしまう。使い勝手に直結する部分ですので非常に重要な調整です。
これらを解消するため、開発時には実際にたくさんの文字を多くの人に書いてもらい何百何千のテスト結果をもとに微調整を繰り返しました。

日本製だからできること

紙のような書き心地の実現と、デジタルペーパーの特徴である薄くて軽いという商品性を実現するために日本製にこだわりました。理由としては3つあります。

まず1つ目は貼り合わせのズレの問題解消です。デジタルペーパーはペンで直接書き込みを行うため、画面上のペンを置いた場所と実際に線が描かれる場所のズレを最小限に抑えることが必要でした。
そのため、表示デバイスである電子ペーパーとペンの座標をとりこむデジタイザーの貼り合わせを、より高精度に行える国内工場の専用設備を利用して行っています。
また、貼り合わせした後、1台ずつ熟練作業者による調整と確認を行いさらに品質向上を図っています。

次にタッチパネルの光軸精度を保持する必要性です。
一般的なタブレット商品は画面の表面に静電誘導方式のタッチパネルを貼ることが多いのですが、この方式ですとタッチパネルの透過率の影響により、画面視認性が大幅に低下してしまうという問題がありました。
そこでデジタルペーパーでは画面の視認性を確保するため画面の表面には何も貼らない赤外線方式のタッチパネルを使用しています。ただ、13.3インチの大画面上で赤外線の光軸精度を保つのは至難の業です。この光軸精度を確保するため国内において高精度な金型で成形した赤外線導光板を使用し品質を保っています。

最後に薄型軽量シャーシの量産です。
デジタルペーパーは薄く軽いことが特徴ですが、これはマグネシウムのプレス材を採用することで薄型軽量シャーシを実現しています。
マグネシウムのプレスは温間プレスという特殊な製法が必要とされており海外では一般的ではなく量産が難しいとされています。
これを国内で技術を持つプレス工場を使うことで量産に成功しました。

パソコンやタブレットと組み合わせて

「デジタルペーパーは文書の余白にメモを書き込む」
「デジタルペーパーで作ったメモを見ながらパソコンでレポートを作成する」
といった具合に名前のとおり“デジタルの紙”として、パソコンやタブレットと組み合わせて使う機器です。
いつも身近にある薄くて軽い紙の使いやすさを追求しつつ、ネットワークで文書の共有や連携ができるのがデジタルペーパーの特長であり強みです。
またデジタルペーパーでは「学習支援ソリューション」「会議ソリューション」の2つのソリューション商品を提供しており、デジタルペーパーと組み合わせて利用いただくことで紙で配布されていた資料を電子化でき、今まで電子化が難しかった「手書き」にフォーカスを当てた付加価値の高いソリューションの提供を目指していきます。

デジタルペーパーは紙に代わる使用感やネットワークを使った共有機能の有用性を確認するため、紙に触れる機会が多い企業や学校で実証実験を行い商品開発を進めてきました。
現在、大学では論文添削や授業においてデジタルペーパーを活用しています。また医療分野においてもレセプトチェックや治験資料などのドキュメントを扱っていただいております。
デジタルペーパーを活用し、電子化された文書に紙と同じ感覚で書き込め、そのドキュメント内容を他人と共有することで、学びの質の向上や業務の効率化を実感していただいております。ぜひ「新しい未来の紙」デジタルペーパーをお試しください。